プロフェッショナルインタビュー・後編
「行動するくらいなら、本を読みなさい。」と訴える波頭さん。
しかし、「行動することが大事」と多くの人が言うのも事実である。
波頭さんが思う、「真の行動」そして「一流の学生」ってどんなものなのでしょうか?
・薄っぺらい「行動」じゃなくて、体はって「行動」していますか。
波頭:
ほんとにごく一握りの人で、行動が一流の人もいると思います。
例えば、あの方。シリアで亡くなった山本美香さん。
もちろん学生ではないですが、世界で何がおこっているのかっていうのを自分の目で見て、それを伝えにいくっていう。
あの、体張ってやっているのが素晴らしいと思います。
しかし、いわゆる「意識の高い学生達」は、こんなことをやっている私ってカッコいいよねっていう、非常に安っぽいナルシシズムとか、あるいは、もっと自己顕示を動機でやっていることが多いと思います。
やっていること自体に関しても、何一つ知らないし、ちょろちょろ走り回っていて行動している気になっているように見えます。
うーんなるほど。
体をはる、つまり「自分をすごくみせたい」とかいうナルシズムみたいなものが動機なんじゃなくて、「世の中に自分の問題意識(もしくは与えたい喜びなど)を持って立ち向かう覚悟」があるかないか。そこが動機になっているか。
それが大事だってことですね。
もし、その動機があったとして。
その上で社会に必要とされる行動や経験ってどんなものなんだろう。
・社会に必要とされる経験って、実はすごく広くて厚い。
波頭:
さっきの西ベルリン音楽学校の話にありましたが、Cの人達だって、AとBと同じように、時間は一週間に51時間やっている。
週に51時間やるってことは、普段の生活はほとんどそれしかやってないということです。
それでも、オーケストラの団員にもなれずに、高校の音楽の先生とかってになってるっていう。
つまりどういうことかっていうと、学生が思っているより、お金を稼いで、社会のひとつの仕事を担うために求められるスキルとか知識とか経験とかってすごく広くて厚いんです。
だから、学生さんのレベルで走り回るのって、商売で言えば学園祭の模擬店の域を脱していないんじゃないかって思います。
行動行動って言いますが、あなたが誰を動かせる、あるいは、何を起こせるって言った時に、なんか、大丈夫かなっていうレベルことしかやってない人は多いです。
「学園祭の模擬店の域を脱していないんじゃないか」。
こういう問題意識を持つことは、ドヤにならないため、一流を目指すために絶対に必要なことだと思う。
「あなたは誰を動かせる、あるいは何を起こせる」
学生時代にいわゆる「行動」をしていて、こんなこと聞かれたことあるかな?
波頭さんが求めている答えは、もちろん億単位、国を超えた規模の行動力。
かなり高いレベルの行動力を要求している波頭さんだからこそ、「学生レベルの行動」に警鐘を鳴らしていたのか。
高校時代よりずっと行動力がアップしたように感じる私達に対する
「体をはる覚悟があっての行動がプロだよ」
「プロにはもっと広くて深い経験が必要とされるよ、学生時代で満足しちゃダメ」
というメッセージを感じた。
そして
お話を聞いていると、学生として、将来につながる一流というものを目指すには、やはり学生の本分である勉強、そして読書をすることは非常に重要なことに思えてきた。
勉強は、世の中を教えてくれ、頭を鍛えてくれ、つまり全ての基礎能力になる気がするからだ。
・読書で、知的基礎能力をつける。
波頭:
もう、本当に道が決まっているなら、バイオリニストになりたいって8歳の時に決めて、ずーっとやってきた人達って言うのは、バイオリンの練習でいいと思います。
しかし、9割以上の学生にとっては、まだ自分はこの道に進むっていうのって、はっきり言って分からないのは当然だと思います。
分からないです・・・
波頭:
そのためには、勉強や読書を通じて、まず賢くなるとか、いろいろ世の中を知ってみることが大事です。
更に、経営学でもいいし、工学でもいいし、あるいは歴史でもいいから、何かひとつのことをしっかり勉強することが知識の習得だけでなく人間の基礎能力としてとてもためになります。
外からの情報や、昔の人の知見を吸収して、それを自分の栄養とか、筋肉とか、自分のものにするって言うプロセスになるからです。
それに基づいて、自分なりのものの見方のスコープとかものを考えるための方法論を得ることになります。
例えば、サッカーで鍛えても、野球で鍛えても、多少の出来上がりの体は違うけど、すごくいい筋肉がしっかり体につきますね。
そして、基礎的な運動能力があがります。
それと同じように、どの勉強じゃなきゃいけないとは言わないので、経済学だとか、法律だとかなんでもいいから、しっかり勉強することによって、人間の知的基礎能力を身につけることができる。人間の知的基礎能力の骨格が出来あがるので、そのためにしっかり勉強や読書をしてほしいですね。
その能力は、社会人になってからずーっと、一生役に立ちます。
勉強を通じて、人生を組み立てる基礎能力を得る。筋肉をつける。
学生時代におもいっきし出来る勉強で、これからの人生の基礎を組み立てるのはすごく理にかなっているように思った。
行動の話が出たついでに、採用のお手伝いをしている波頭さんから、就活のお話も聞くことが出来た。
ここには、波頭さんが「下手な行動派」よりも「しっかりとした勉強派」を勧める更なる理由が隠されていたのである。
波頭:
今、一流企業は優秀な学生をとるために必死です。
企業は国際競争に勝っていくために、グローバル水準の能力を求められている。それは一人一人の人材の人的能力。
やはり圧倒的に優秀な人が欲しい。
それで、意識の高い学生(笑)みたいな、「ボランティアもやりました、学生ネットワークもつくりました」みたいな人は、実は軽く見られています。
このメッセージはぜひ学生さん達に伝えて欲しい。
これは実際にそう。
本当にそう。
本当にやっている人っていうのは迫力があります。
そんなこと言わなくても、この子どうしてこんなに迫力あるのだろうと思うと、すごい経験をしている子はいますが、自分はこんなんやりましたーあんなんもやりましたーっていうのって、はいはいお疲れさまでしたって感じです。
就活の相談に来た子には、エントリーシート100社も書いたりするのやめて、ただ本を読めって言います。
3ヶ月あれば100冊読めます。
今からでも3ヶ月って間に合うから、読んで、そしてタイトルと著者を全部覚えて、それで気に入った本、30冊ぐらいブリーフィングができて、しかも、3冊ぐらいは、お、これはひとつの卒論になるなってくらいの意見が言えるぐらいようにしろって言います。
そしたらたいていの企業は受かります。
その後、波頭さんが今までであった「一流の学生」2人について教えていただいた。
ノーベル賞を本気で目指している学生、新卒2年目で中国進出の責任者をまかされ、次々に国際的アライアンスを決めていった人・・・。
このぐらいのレベルが、本当の一流レベル。
二人とも、波頭さんと対等に話せるレベルの知識、論の展開をできるほどの優秀さだそうです。
(私は、「なるほど」「すごい」を繰り返すレベルです、残念ながら。)
一流の世界では、どんな人がいるのか、何が求められるのかを垣間見た一時間半でした。
●質問コーナー
①本を読むの本当に苦手です。楽しくすいすい読めるコツなどありますか?
本を読むのが苦手な人はどうしたらいいでしょうか?
波頭:
すいすい読めるようになるまで、まず読むことが大事です。
体を鍛えるのだったら、まずジョギングしなさいって言っているように、走るのが本当に苦手で、息も切れるし足も疲れるし、っていうのは、本を読むっていう最初のエントリーバリアの前でつまずいていいます。
それはとにかく読むことで乗り越えるしかない。
②日本には1000冊も読むべき本はあるのでしょうか?
波頭:
本は聖書1冊でかまわないって人もいます。
食事で例えれば、牛丼が好きなんで牛丼だけ食べていればいいんですよって人もいるので、それはかまわないですが、美味しいものが無限にあるように、面白い本、あるいはためになる本っていうのは無限にあります。
僕が1000冊って言ったのは、大学生4年間で1000冊読む人が、アメリカとか海外の一流の学生では珍しくないんだから、そのレベルで、頑張って読むといいよって言ったわけです。
読むべき本っていうのでいえば、1000冊どころか1万冊でも10万冊でもある、とも言えますね。
③数を読むことも非常に大事だと思いますが、1冊を繰り返し読み込むことも同じぐらい大事なのではないでしょうか?
波頭;
そう思います。
ただし、僕は普通の人よりはどっちかっていうと多く読む方ですが、僕自身の場合は、2回以上読む本は100冊に1冊くらいですね。
人生全体で何度も繰り返し読んだ本は10冊か20冊くらいのような気がします。
嶋田;
そんなに少ないんですか!
波頭:
あなたはどう、けっこうある?
嶋田:
はい、殿堂入りって名付けていますが、私の人生の見方が変わったっていう意味では、『秋元康の仕事学』『アルケミスト』っていう小説です。
波頭:
やっぱり繰り返し読む?
嶋田:
読みます、繰り返し読みます。
最初は、もう大事すぎて、線も引けなくて、ページも折れないっていう状態なんですが、何回も何回も読んで、だんだん線も引いて、自分だけの参考書みたいになるぐらいまで読んでます。
波頭;
そういう読み方ができるっていうのはいいですね。
何回も読みたいって思う本に出会って、で、それを自分の生き方とかものの考え方とか見方とかの座標軸にするんであれば、そういう読み方もとても良いと思います。
だけど、そうは言っても、1冊に出会うためにはいっぱい読まないと何回も読むべき本には出会えませんね。
学生時代4年間とはいいませんが、軽いライトノベルみたいなものではなく、例えば新書くらいの内容の本を、とにかくまず母数として、1000冊は読んでほしいです。
20代後半から30になるまでの間に。
やっぱり、それくらい読むと世の中にどういう本があって、自分がどういう本が好きで、自分にとってのいい本、つまらない本っていうのを判断する素養が出来てきます。
③「読む」とはどのくらいのクオリティーで「読んだ」ことになるんですか?
ざっと読んでそれで「読んだ」になるのか、しっかり全部読まないとそう言えないのか。指標というか、自分に「読んだ!」てOKサインだしていい目安とかありますか?
波頭;
自分にとって、パニックゾーンの対象になるようないくら頑張っても理解できない本は、字面だけ追ってもそれは読んだことにはなりません。
書いてあること自体がきちんと分かること。
それが読んだっていうことですね。
きちんと分からないのにただ字づらを目で追うだけというのは時間の無駄だからやめた方がいいです。
でも、比較的本を読んできた人間でも、一ページ読んで理解するのに30分とか1時間かかるよような本もあります。
その意味では、難しいと思ってもすぐには逃げないことも大事ですね。
コンフォートゾーンばっかり、それこそライトノベルばっかりいくら読んでも、仕方がない。だから、ちゃんと自分が読むべき本、に関して逃げずにちゃんと分かろうとして読んでくださいっていうのが答えですね。
完璧主義の人であれば、ああこんな本読んでよかったって思える読み方すればいい。
全部分かんなくたって、7割しっかり分かって、なるほどって思えば、その人にとっては、その本を読む価値があるだろうし、あるいは逆にいうと、その人にとってレベルの低い本だったら、全部読んで分かったとしても、読まなくたって自分の人生変わんないよな、自分の教養変わんないよなって思うんだったら、それはあんまりためになってないですよね。
1時間半の間、西ベルリン音楽学校の話から就職活動まで、たくさんの含蓄あるお話をしてくださった波頭さん。
厳しい言葉もありましたが、お話を直に聞くと優しい雰囲気の中にも
「日本の大学生に、日本を背負える、そして世界を背負える人材になってほしい」
という強いお気持ちが伝わってきた。
最後に、「大学生へメッセージをいただけますか?」
とのリクエストに、波頭さんはこう答えてくださった。
波頭;
頑張って勉強してください。
学生っていうのは、立派な人間になることを目的とした、時間の使い方がすごく自由にできる時間、時期です。
特権的な身分ですよね。
働くようになったら、お金をもらうために拘束されます。
だから、学生は、ほんとに自由に時間を使える時間です。
だから、人格とか教養の豊かな人間になるために、本を読むのでもいいし、あるいは、ある特別な分野で、例えばさっきの西ベルリン音楽学校の学生達のように、自分の時間とエネルギーをバイオリンが上手くなることに集中的に使うことも考えられます。
まさに、自分がどういう人間になりたいか、どういう人生を生きたいかっていうために、好きに時間を使って欲しいです。
ただ現実の多くの学生さんは、日々怠惰なことが多いです。
そう・・・かもしれません。
波頭:
怠惰は怠惰でいいんだけれど、あとで、今の1年間の怠惰を取り戻そうと思ったら、仕事しながらだったら5年も10年もかかります。
学生時代の、ハタチ前後の、学生という身分での時間の使い方のレバレッジっていうのはすごく大きいから、頑張ってほしいです。
なるほど。
私はやっぱり何かの分野で一流のプロになりたいし、仕事で人を感動させられる人になりたい。
そのために今何かできるかといえば、やっぱりしっかり勉強することだな。
若者時代に流さなかった汗は、老人になった時の涙になる。
って聞いたことあるけど、そうならないように、頑張ろう。
おまけ!
波頭さんオススメの1冊。
究極の鍛錬
- 作者: ジョフ・コルヴァン,米田隆
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
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- 作者: マルコム・グラッドウェル,勝間和代
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- 作者: J.R.R.トールキン,瀬田貞二,田中明子
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フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
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- 出版社/メーカー: 新潮社
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プロフェッショナル原論
- 作者: 波頭亮
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私も読みましたが、素晴らしかったです。多分このインタビューがもっと分かるようになると思います。
〈インタビューを終えて〉
さて、いかがだったでしょうか?
私は、圧倒されまくりの一時間半でした。
耳が痛い話もたくさんあったかもしれません。
でもブログに書いてあることが
「そうかもしれない」
と少しでも思うなら、気持ちの上での「ラーニングゾーン」にいるはず。
しんどいけど、大変そうだけど、でもやらなくちゃ。そう思う時が一番成長のチャンス、伸びるチャンスだと思います。
そして、その努力を質のいい状態で継続すること。
100人いたら、10人がチャレンジし、1人が継続することができるそうです。
その1人になれば、もう倍率100倍を突破してるから、新しい世界が見えてくると思います!
しかも競争相手は自分だけ。
というか偉そうなことたくさん書いたけど、一番焦っているのは自分でしょ。
こんなことブログに載せちゃったら、この内容に沿う人にならなくちゃ・・・。
うおおっほーい
私事ですが、来週からアメリカでの授業がいよいよ始まります。
とても大変になる予定・・・
なので、辛いときには波頭さんの言葉を思い出す予定です。
頑張ろうっと!!!!!!
最後になりましたが、お忙しい中時間を割いてくださった波頭さん、株式会社XEEDの皆さん、本当にありがとうございました。
そして、記事を読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。
プロフェッショナルインタビュー・前編
「大学生は、とにかく本を読みなさい。」
という波頭亮さんの講演会に行ったのは去年の10月。
私が「とにかく本を読もう!」と思ったきっかけのひとつが波頭さんの講演会でした。
そんな波頭さんのインタビューからしっかりと伝わってきたメッセージは、
「君は、一流になりたいか。」
「プロ×読書」インタビュー第一弾です!
波頭亮さん
■プロフィール
1980年 東京大学経済学部経済学科卒業。1983年 東京大学経済学部経営学科卒業。
1983年 マッキンゼー&Co入社。1988年 経営コンサルティング会社(株)XEEDを設立。
戦略系コンサルティング分野の第一人者として幅広い分野活躍を続ける一方、明快で斬新なヴィジョンを提起する論客としても注目されている。
■役職/活動
社会資本整備審議会 基本政策部会 委員(2002年〜2009年)
日本構想フォーラム 代表幹事(2007年〜)
ENJIN01 文化戦略会議 幹事(2001年〜)
他
■著書
「リーダーシップ構造論―リーダーシップ発現のしくみと開発施策の体系」(産業能率大学出版部刊)〈2008年〉
「思考・論理・分析―「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践」(産業能率大学出版部刊)〈2004年〉
「組織設計概論―戦略的組織制度の理論と実際」(産業能率大学出版部刊)〈1999年〉
「戦略策定概論―企業戦略立案の理論と実際」(産業能率大学出版部刊)〈1995年〉
「成熟日本への進路」(筑摩書房刊)〈2010年〉
「プロフェッショナル原論」(筑摩書房刊)〈2006年〉
「若者のリアル」(日本実業出版社刊)〈2003年〉
「幸福の経済学」(PHP研究所刊)〈1999年〉
「ネオ クライテリア」(ダイアモンド社刊)〈1993年〉
他、多数
<共著>
「突き抜ける人材」(茂木健一郎氏との共著 PHP研究所刊)〈2012年〉
「プロフェッショナルコンサルティング」(冨山和彦氏との共著 東洋経済新報社)〈2011年〉
「知識人の裏切り」(西部 邁氏との共著 筑摩書房刊)〈2010年〉
「日本人の精神と資本主義の倫理」(茂木健一郎氏との共著 幻冬舎刊)〈2007年〉
君は、一流になりたいか。
「ブログ、毎日書いてるの?」
この一言から始まったインタビュー。
「・・・ブログ、どうでしょうか?」
おそるおそる聞いたところ、こんな答えが返ってきた。
私のブログ評からはじまる、一流になるための条件とは。
・一流=努力の総量×質である。 〜どんな練習をした人が一流になれるのか?〜
波頭:
ジョフ=コルバンという人の本で『究極の鍛錬』という本があります。
その中の、アンダース=エリクソンという研究者が行った『西ベルリン音楽学校でのバイオリニストの調査』の話をしましょう。
- 作者: ジョフ・コルヴァン,米田隆
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
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その西ベルリン音楽学校というのは、日本で言うと藝大みたいなところです。
その調査ではバイオリン学科の学生を能力レベルによってA、B、Cに分けて、どんな練習をしているのかについて綿密に調べました。
Aクラスは、ソリストになったり、世界的にも一流のオーケストラの団員に入れるくらい、まさに一流のプロ。
Bクラスは、ソリストになるほどじゃないけど、なんとか町のオーケストラの団員になれて、一応バイオリニストで食べていけるようなレベルの人。
Cクラスは、プロのバイオリニストとして生きていくっていうのは技術が足りなくて、学校の先生、音楽の先生というレベル。
何がA、B、Cの差を生むのか。
どんな練習をすれば、一流になれるのか。
アンダース=エリクソンは、それを調査したんです。
学校以外での練習時間は、AもBもCも一週間当り51時間で同じでした。
面白いですよね、みんな51時間。
しかし、実はA、BとCの間には大きな違いがありました。
AとBは、辛くて単調な孤独な練習を51時間中24時間やっていたのです。
しかし、Cクラスは、辛くて単調で孤独な、ひとりきりで繰り返し繰り返しやる練習は9時間しかやっていませんでした。
多分お友達と一緒に集まって、アンサンブルで曲を弾いたり、自分が得意な曲を弾いて、気分よくやってたんでしょう。
その結果が、A,BとCとの違いとなりました。
つまり、一流になるためには辛くて孤独な練習が必要であるというのが、まず第一のメッセージです。
じゃあ次は、AとBの違い。
これは音楽学校に入学するまでのプロセスにありました。
AもBもCもだいたい8歳でバイオリンをはじめているので、入学するまでに約みんなそれぞれ10年やっています。年数は同じなんです。
しかし、同じ10年でも、Aはその10年間で、7400時間練習していました。
Bは5300時間。
Cは3400時間。
だから、そもそもCクラスの人は入学以前にめいっぱい頑張ってないし、入ってからもラクしているから永遠に追いつけない、一流のプロにはなれない。
学校に入ってから、辛くて単調な孤独な練習をやっている人だけがプロになれるのですが、その中でももともと努力の総量が多いAの人達と、入るまでの努力の総量がAに負けていたBの人達っていうのは一生差が埋まらないのです。
この調査からのメッセージは2つあります。
ひとつは、一流の人材、プロになろうと思ったら、どの分野でもまず大事なのは努力の総量。(AとBの差)
あともうひとつは、同じ努力でも、孤独で辛い練習をどれだけ積み上げるか。努力の質を、磨けるかということです。(ABとCの差)
ブログの感想を聞いたら音楽学校の話が出てきた。
努力の総量は、つまり努力を続ける、ということ。
まずは2000時間っていうけど、1日6時間×365日=2190時間。
努力の質を上げる・・・
でも、努力の質を上げるって、何でもがむしゃらに頑張ればいいってこと?
人を育てる、孤独で辛い練習というのはどんなものなんだろう。
・ただ頑張るのではなく“ラーニングゾーン”での練習を積む。
波頭:
鍛錬には、パニックゾーン、ラーニングゾーン、コンフォートゾーンの3種類があります。
コンフォートゾーンっていうのは字のごとく、やってて楽しい練習で、いくらやったって伸びないゾーン。
パニックゾーンは、実力をはるかにこえた練習で、これも伸びない。
例えば僕が、おすもうさんになろうと思って、横綱にぶつかってったって、パンってはたかれて、多分100回はたかれたても全然上手くなれない。
だから、自分のその時点の実力に併せて、その実力の限界をちょっと超えるくらいのラーニングゾーンの練習っていうのが辛くて単調で孤独な訓練で、実力が伸びるゾーンです。
つらいんだよね。自分を延ばそうとするのって。
でも、グレードがあきらかに変わるようなところにあがっていきたいなら、コンフォートゾーンの中での練習をやっていてもダメ。
コンフォートゾーンで、勉強やトレーニングをすることって本人は楽しいし、しかもやってる感があるんだけど、能力的には、あるいはスキル的には、グレードステイ(grade stay)でしかないです。
西ベルリン音楽学校の教訓は、
・努力の総量
・ラーニングゾーンの辛い練習をどれくらい積み上げられるか
っていうのが一流になるために大事な要件だっていうメッセージだと思います。
どうしてこの話を冒頭にしたかっていうと、
ブログの感想は、前半の方が頑張ってた感があるなってことです。
後半ちょっとコンフォートゾーンに入ってきちゃいましたよね。
だから、あなたがまだ、小学生で、文字を読むこと自体、あるいは読書の楽しさを知ること事態にすごく意味があるフェーズにいるのであれば、この後半のようなけっこう楽しくてどんどん読める本で良いのだと思いますが、それでは、あなたの実力は伸びない。
最初やっぱり「よし、まとめて本を読もう」って思った時の方が、なんか本のリスト見ても結構意欲的だったし、その上めんどくさくても読んだ本の内容をまとめるのをコツコツやってるじゃない。
だから、ああいう時に、実は力が伸びる。
読んだ中での最大の感想はそれ。
むむむ・・・そういうことか。のっけから全て見通されていたことにショック(と動揺)を隠せない私。
うーん、振り返れば、私は大学に入ってから“コンフォートゾーン”でぬくぬくしてきた感がある。
なんとなくめんどくさい授業、朝起きれない・・・一生懸命やることだってあるけど、実際は楽しいこと・好きなことばかりしてきて、大学3年目、正直こんな生活にすごく焦っている自分もいる・・・。
うーマズい。
本気の人には一瞬でバレんだ。
波頭さん・・・「コンフォートゾーン」から抜け出すためには、どうしたらいいんですか?
・自分で自分を律するself-discipline
波頭:
その本にも出ていましたが、ラーニングゾーンに居続けるのに、大事なのは「コーチ」だと書いてありました。
オリンピックの浅田真央ちゃんにしても安藤美姫さんにしても、一流のコーチについたら急にメダルとったりするじゃない。
ただし、つきっきりのコーチっていうのは、世界で一番レベルを目指すなら不可欠かもしれませんが、ある程度のところまで、さっきの西ベルリン音楽学校の話だったら、大学に入るとか入らないまでは、一般論的な、やらなきゃいけないってことは一流を目指す人だったら分かると思います。
本当は、コーチがいて、「お前そんなのコンフォートゾーンだよ、もっとレベルあげろ」って言ってくれればやりやすいだろうけど、みんなが今すぐ世界一流のコーチについてもらえる訳ではないですよね。
学生さんのときは、自分自身で身を律すること、セルフディスプリンが大事です。
「これじゃコンフォートゾーンだ、もっと頑張ろう」っていう自分自身で叱咤激励していれば大丈夫じゃないかな。
それこそ、読書だったら、明らかにぺらぺらしたペーパーバックよりかは、ちょっとしっかりした学術書を読もうとする気持ち。
学生さんのレベルだったら、とにかく安易にラクしない、ってことを自分にあてはめればいいと思う。
ただ、さっき言ったように、Aクラスの人達だって、51時間中つらい練習は24時間です。
ツライのばかりだったら人間また持たないのも現実だから、自分自身がモチベーションをなんどかつないでいられる範囲で、どれだけ辛い方へ自分を追い込めるかが、ラーニングゾーンに居続けるために大事ですね。
Self-discipline 。やっぱり一番大事なのは自分の気持ち、自律心!
ところで、努力の話の次に、読書の話がでてきた。
波頭さんは、なぜ大学生に読書を勧めるのだろうか?
・エントリーシート書くよりも、本を読んで賢くなる方が近道です。
波頭;
あれは、ふたつの意味があります。合理的に行動しろという意味と、とにかくもっと勉強して賢くなって欲しいという意味です。
学生さんっていい就職したいとかいい仕事に就きたいって思ってますよね。
だけど多くの人がエントリーシートを100社も200社も送るっていう信じられないことをやっています。
そういう目的に対して、「合理的な行動をとりなさい、賢くなった方が近道ですよ」って伝える意味です。
例えば、100冊の本を読んで、それぞれ1分ずつブリーフィングできて、タイトルと著者の名前を語れるだけの勉強をすれば、そのプロセスで身に付く教養とか知識っていう意味でもそうだし、その迫力で、たいていのところは受かるんじゃないかなって思います。
(嶋田注;ちなみに、波頭さんはいくつかの企業で採用のお手伝いをしています。)
僕、せめて100冊読めっていうことを、就活学生30人ぐらいに言ったかな、こういうface to faceに近い状態で。
いろんなご縁があって相談に来た人とかね。
でも今まで誰も読みませんでした。
だから、いい就活したい、例えばマッキンゼー入りたいとか三菱商事入りたいとかいうんだったら、まず勉強しろ、本読め、と。
だけどそれすらやらないのが、今の多くの学生の現実の姿。
だけど、エントリシートを100社も書いていると、なんだか一生懸命やってる気がして、そっちにはかなり熱心ですが、本当に大事なことをやらないように見えます。
だから、就活に対する目的合理性に対するアドバイスとして読書を勧めています。
・人生を組み立てる力は読書で養われる。
あともうひとつは、賢くならないと、いろんなことを賢く振る舞えない、人生を組み立てられない、生活を組み立てられないからです。
賢くなるためには本を読むことがとても有効です。必要不可欠と言ってもいい。
今時点のいい就活のためっていう目的合理性のためと、あと、そもそも就活のためという一時点だけの話ではなくて、生きていく上で賢くなるために、本を読むといいですよ。今の学生は圧倒的に勉強が足りないよ、と伝えたいんです。
アメリカに行くって書いてあったけど、行けば分かるよ、死ぬほど勉強しています、アメリカの学生は。
例えば、アメリカのアイビーリーグって、アフタースクール平均7.5時間です。
毎日毎日7.5時間ってけっこう強烈だよ。
読書・・・確かに、賢くなるためには、読書は必要だ。
自分だけの経験、知見だけに頼っていては必ず限界がくる。
一方で、大学生は自由な時間がたくさん使える時代だ。
最近はそれを活かして、サークル、ボランティアなどを立ち上げたり、いろいろな人に会ったりする“行動派学生”もたくさんいる。
読書だけではなく、行動することも大学生では必要なことなんじゃないのでしょうか?
・行動している時間があったら、本を読めばいい。
波頭;
薄い行動をしている時間があったら、もっと本読めって僕は思います。
行動しているとか意識が高いって言われている学生って、子供っぽい人が多い気がします。
行動型の僕に会いにくる学生さん、毎年何人もいまsす。そういう子達ってあまりにも教養がなくて、あまりにも自分の思い込みとひとりよがりのロジックを振りかざすことが多い。
こんなことをやっている私ってカッコいいよねっていうその、非常に安っぽいナルシシズムとか、あるいは、自己顕示を動機でやっている人達って、会って話をしていても実のある会話が成立しない。
やっていること自体に関しても何一つ知らなかったり、あちこち走り回ってあれこれ人に会っているだけで何かやっている気になっていると思います。
要するに、ライトノベルだけ読んで、自分の趣味は読書です、教養を広げることですって言っているのが痛いのと一緒で、行動するっていうのも、薄っぺらい人が多いというのは思いますね。
おおお・・・勉強をおろそかにしてきた自分には耳が痛い話。
波頭さんは、常に一流の仕事を考えられている方だ。
「プロフェッショナル原論」を読めば、分かる。
そして、そんな一流の方から聞く「行動の話」、耳が痛い。
でもすごく分かる気がする。
大学1年生のときに「やりたいことを全部やる」という目標を掲げた自分。
一通りやったあと残ったのは、しかし、行動すること自体に満足していた自分の姿。そんな自分がすごく薄っぺらいものに感じられた。
そしてそんな自分が嫌で、何かひとつを続けようと思い、「たくさん読書」を始めたっていうのを思い出した。
正直なところ、行動することで満足していたり、ドヤになっている学生の存在も分かる。(自分も含めて)
しかし、「行動することが大事」と多くの人が言うのも事実である。
波頭さんが思う、「真の行動」そして「一流の学生」ってどんなものなんだろう?
そんな思いを抱きつつ、後編にすすむ。
ありがとうございました。
今まで「抱きしめたくなる本棚を創ろう。」ブログを読んでいただき、本当にありがとうございました。
今日で一旦終わりです。
※波頭さんのインタビューは、現在チェック中ですので、完了次第アメリカにいようがどこにいようがUPさせていただきます!遅くなっちゃってごめんなさい(涙
波頭さんインタビュー。。。。これは必読。
ちらりとネタバレすると
「君は一流になりたいか。」
こんな感じです☆(すくな!
うーん最後になにを書こうかなと思ったのですが、
感想と言うか。
これからの私の目標を書きます。
まず。
400冊読んだよーってFBに書いたら、予想以上にみんながコメントくれて、ああ、本読みたいなって思ってる人がこんなにいるんだったらブログでもやって本の紹介でもすれば、喜んでくれる人もいるんじゃないかなと思って始めて見ました。
そしたらいろんな人が読んでくれたり、メッセージくれたり、人に会えたり、本屋に行けたりしました。(嬉しかったです!)
そしたら、実は、本の世界ってすんげー深かった。
途中実は、一瞬「慢心」と「飽き」(←早いw)が来てましたフランセス・・・
でも、
「ああ、自分まだまだだわ・・・。」
と本の世界の奥深さにおののいたのは、波頭亮さんへのインタビューでした。
(早くみんなに見せたい!)
そう、この企画通して「自分、まだまだだわ。」って一番思いました。
記事のクオリティーにしても
読む本にしても
慢心してるくせに、続かない。
でも、その「しんどさ」に耐えてる時に、一番実力がつくんだよって波頭さんに言われました。
ぶっちゃけ、本当に誰だって頑張れば「必ず」1日1冊で400冊は読める気がします。
本当に、そう思う。
写真集、詩集でつないだ時期もありました(笑)wwww こういう手を使って笑
その時は、何も続かない自分がどうしても嫌だったから、そうやって頑張りました。
でも、しばらく量をこなすと、それに慣れてきて1日1冊が楽に出来ちゃう時期が来ていました。
そんでこのくらい読んじゃって、なんかすごくない?ってなってたとき(ほんとすいません土下座)にインタビューがあって。
でも、心のゆるみは波頭さんにはバッチリ見抜かれていました。
これから、私がもっと質のいい読書をめざしたいなら、ライトノベルだけじゃなくて、しんどい本をもっとたくさん読みなさい。
哲学書、学術書、洋書・・・など。
あなたの記事にも、リストに出す本の質にも、心のゆるみが表れている。
って言われました。
これからは、数だけではなく、本の質にも注意しなければ、500冊、1000冊読みましたなんて人に言っちゃいけないんだよって。
「コンフォートゾーン」でいくら戦っても絶対に実力は伸びないよって。
おおおううううううううう
ちょっとインタビューネタバレですね(笑)
ということで、
皆さんに読んでもらうようなブログをやる以上
もっと自分の読書の質をあげなくちゃいけないんだ
そして何事も続けなくちゃいけないんだ
って思いました。
なんで
留学で、月10冊洋書読めるようになって帰ってきます。
あーーーーーーーーーーーーまた宣言しちゃったーーーーーーーーーー
ブログやめれなかったの、公共の場で宣言しちゃったからなんだよーーーーーーーー笑
そこで読書の質を上げて、帰ってきたらまたブログ再開できたらいいなーって思ってます。
もっといろいろな人の書評とか、人を惹き付ける文章とか、違う人のブログとか参考にしつつ。
でも、とにかくありがとうございました。
いろんな人がメッセージやアドバイス、オススメの本とかをくれて、本当に嬉しかった。
それではまた。必ず。
インタビューをおたのしみに!
竜馬がゆく。
昨日はあかんことをした20の夜フッフー(反省
うん。
1冊のプレビューを長くしてはどうか?と言われたので、今回は
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1998/09/10
- メディア: 文庫
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だけについて、しかし真剣に書きます。こんちくしょー
この本、すごい好きです。
すごいすごい好き。
なんでこんなに自分のモチベーションになり続けるのかってくらい。
ちなみに
司馬遼太郎の200以上ある作品の中でも
売上数第一位
人気ランキングでも「坂の上の雲」に続き第二位の作品。
つまり、私が単に好きなんじゃなくて、万人に支持される作品だってことです。
その理由はどこにあるのか。
そこで
どこが素晴らしいのか、どうして勧めるのか書いてみようと思って1時間考えてみたんだけど・・・分からない。
くそ・・・なんだこれ・・・
パラパラと読んでみる。
さらに1時間考える・・・。
そこでふと。
あなたの人生が変わる瞬間っていつですか。
こんな疑問が頭に浮かびました。
人生が変わるなんて、そうそうない。
自分が積み上げてきた思考、クセや生活態度を変えるのは年々難しくなる。そんなことは最近分かりすぎている。
それでもなお、変わる瞬間ってありますよね。
今までの自分を引きはがすように、新しいものに目を見開いてしまうことってありますよね。
それっていつなんだろう。
そこにこの本が支持されるヒントがある気がしました。
この本は、
土佐出身の、身分もない、しかも浪人の坂本龍馬が、幕府を倒しちゃった経過が描かれています。
竜馬もすごいが、まわりのヤツも信じられないくらいすごい。
だけど、なんでこの人らは、こんな仕事ができたんだろうか。
時代の熱、っていうのもあるかもしれない。
でも、もし自分がこの時代、同じ性別、同じ身分に生まれていたら、同じ仕事はできたのだろうかって思ってみてください。
不可能だと思われた倒幕、もっと言えば薩長連合が、なぜ彼らには、なぜ竜馬にはできたのか。
おおげさじゃなく、司馬遼太郎さんはその疑問を数年考え続けたと言います。
以下、この文庫本8巻、3000ページを超える小説の「核」の部分を引用します。
私は、ここに「竜馬がゆく」が万人に支持される理由があると思いました。
場面は、
竜馬のおかげで薩長連合の下準備はできた。あとは薩摩・西郷さんと長州・桂さんが会えば完成だって言うところ。
しかし、二人とも感情的になって、その一歩に踏み出せない。
そこで、竜馬さんが西郷さんに「体面を重んじている場合じゃない!長州が可哀想じゃないか。」と吠えるように言う場面です。
筆者は、このくだりのことを、大げさでなく数年考え続けてきた。
じつのところ、竜馬という若者を書こうと思い立ったのは、このくだりに関係があると言っていい。
この当時、薩長連合というのは、竜馬の独創的構想ではなく、すでに薩長以外の志士たちのあいだでの常識になっていた。
薩摩と長州が手をにぎれば幕府は倒れる、というのは、たれしもが思った着想である。
公卿の岩倉具視も思ったし、筑前班長に惨殺された同藩の志士月形洗蔵もそうおもいつづけてきたし、竜馬と同郷の中岡慎太郎などは、もっともそれを思った。
(中略)すでに公論である。
しかししょせんは机上の論で、たとえば1965年の現在、カトリックと新教諸派が合併すればキリスト教の大勢力が出来る、とか、米国とソヴィエト連邦とが握手すれば世界平和は今日にでも成る、という議論にやや似ている。竜馬という若者は、その難事を最後の段階ではただ1人で担当した。
すでに薩長は、歩み寄っている。
(中略)
あとは、感情の処理だけである。
桂の感情は果然硬化し、席をはらって帰国しようとした。薩摩藩も、なお藩の体面と威厳のために黙している。この段階で竜馬は西郷に、
「長州が可哀そうではないか」
と叫ぶようにいった。当夜の竜馬の発言は、ほとんどこのひとことしかない。
あとは、西郷を射すように見つめたまま、沈黙したからである。奇妙といっていい。
これで薩長連合は成立した。
歴史は回転し、時勢はこの夜を境に倒幕段階に入った。一介の土佐浪人から出たこのひとことのふしぎさを書こうとして、筆者は3000枚近くの枚数をついやしてきたように思われる。ことの成るならぬは、それを言う人間による、ということを、この若者によって筆者は考えようとした。竜馬の沈黙は、西郷によって破られた。
西郷はにわかに膝をただし、
「君の申されるとおりであった」
と言い、大久保一蔵に目を走らせ、
「薩長連合のことは、当藩より長州藩に申し入れよう」
といった。
大久保は、うなずいた。
(竜馬がゆく6巻 p245-247)
歴史が変わった瞬間。
歴史を動かしたのは、「長州が可哀想ではないか」という一言であり、それを言った竜馬でした。
この引用のキモは、
これを言われた西郷さんは、多分、コレを言ったのが坂本竜馬じゃなかったら動かなかった。ということです。
だって、薩摩と長州がくっつけば・・・というのはその時代の公論なのに、幕府なんてもういたらヤバいんじゃないかって風潮なのに、西郷さんも桂さんもそれを考えてたのに、お互い動かなかった。
二つの藩は、お互いを、もう何世紀もの間、ものすごく憎み合っていたからです。
なのに、なんで西郷さんは、竜馬さんの一言に動かされたのか?
自分が積み上げてきた思考、クセや生活態度。
つもりにつもったソレを引きはがすように西郷さんを動かしたのは、「長州が可哀想ではないか」、それを言った坂本龍馬、彼という「人格」との出会いだったと思うのです。
それこそが、引用の中でも太字にした
ことの成るならぬは、それを言う人間によるということ
ここです。
坂本龍馬という人の思想、生き方、行動。
これがトータルとして表れた「人格」によって言われた言葉こそが、人を動かし、ことを前進させた。
「ことを成らせる」=「人を動かす」ということは、言葉の内容ではなく、それを言った人格によって決まるということです。
金、権力、名誉・・・人を動かすものはいろいろあるけど、本気のギリギリのところでは、人格が最もモノを言う。
司馬遼太郎さんは、こう言ってるんじゃないでしょうか。
そして、それがこの本の最大のメッセージだと思います。←文章書いてて思った。
この本が多くの人に支持される理由。
私は、今までの自分を引きはがすような「人格」との出会いに、多くの人の心が震えたから。
竜馬さんという「人格」に動かされた西郷さんが、その後の人生、いやその後の日本までを大きく変えていったように、この本にも、人を動かし、変える力がある。
人を動かし、変えるほどのカッコいい人達、心から尊敬できる人達との出会いがたくさん、死ぬほどたくさん用意されている。
そして、薩長連合のように、その「人格」達が、人を動かし、ことを成立させていくを見ることが出来る感動もちりばめられているのです。
だから、こんなにも多くの人を感動させ続けているんじゃないかなあ。
「度量、海のごとし」の坂本龍馬をはじめ、
西郷隆盛、木戸孝允、勝海舟、武市半平太、お竜さん。
彼らの生い立ち、日記、名言、育った環境・・・司馬遼太郎さんは、膨大な、本当に膨大な資料によって、登場人物の人格をとてもリアルに浮かび上がらせてきます。
例えば、西郷隆盛。
「命も要らず、名も要らず、官位も金も要らぬ人は、始末に困る者成り、この始末に困るひとならでは、艱難を共にして、国家の大業はなし得られぬものなり」
「人のあとを慕ひ人の真似をする事なかれ」
など、多くの引用も使われていて、ああ、本当にこんな人がいたんだってリアルに伝わってきます。
内容ももちろん素晴らしい。
でも、本で出会う人々の人格が素晴らしいからこそ、そして司馬遼太郎さんの筆致が最高にカッコよくその人格を浮かび上がらせているからこそ、この本は読む人の心を動かし、人生まで変えてしまう力を持っているのではないでしょうか。
そこが、心が動かされる瞬間。
そんな気がします。
うん・・・どうでしょうか。
もちろん、人を動かすことって名誉お金権威とかいろいろあると思います。
本は歴史を100%描くことだってできないでしょう。
それでも、この小説が、これだけ人の心を動かすのは、人格との出会いに理由があるんじゃないかなあと思います。
ほら、やっぱり生活してても感動するのって、人間的にステキな人に出会ったり、TVでも本でも「こんな人が世の中にいるんだ!」って感動するときじゃないですか。
そういう人との出会いって、一時的な感動で終わるんじゃなくて、その後自分を変える力にもなるから、本で出会った人格達も自分を変え続けてくれるんです。
ことの成るならぬは、それを言う人間によるということ
正直、中学生の時はこの文の意味が全然分かりませんでした。
実はこの本はお父さんからもらったもので、この部分に赤線が引いてあったのです。
でも、その時の私は何が重要なのか分からなかった。
でも今は少し分かる気がします。
言う人の人格が、その言葉の価値を決めるっていうこと。
多分、このブログも私がどういう人間であるかで、説得力が全く違うんだろうなあ・・・(冷や汗
わりお。
ネタ切れでどうしようもないから本棚の本全部UPした①
ふははは。
笑うしかないじゃないか。
人の本棚をみちゃった、あのなんともいえん感じを味わうがよいのだ!
200冊ぐらいあったのを掃除で1/5に減らしたので、だいぶ洗練されていると思いま・・・す。
あ、まさに私の抱きしめたくなる本棚^^
小説編
- 作者: 吉本ばなな
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2002/04
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- 作者: ヘッセ,松永美穂
- 出版社/メーカー: 光文社
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- 出版社/メーカー: 光文社
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これも、あの、人間としてのどうしようもなさというか負のオーラがもう、たまんなく好きです。
- 作者: 佐藤多佳子
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- 作者: 夏目漱石
- 出版社/メーカー: 新潮社
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- 作者: 石子順,手塚治虫
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- 作者: 福永令三,三木由記子
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- 作者: 司馬遼太郎
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- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
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- 作者: 佐藤多佳子
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自分のモチベーションの80%はここから生まれてるんじゃないかってぐらい。
これは、多分多くの人の人生を変えてきている本です。
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Orlando's Camping Holiday (Orlando the Marmalade Cat)
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Strega Nona (Aladdin Picture Books)
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なので、今でも犬の種類にはちょっと自信があるb
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写真がよい。
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- 発売日: 2002/07/25
- メディア: 単行本
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- 作者: トムケリー,ジョナサンリットマン,Tom Kelley,Jonathan Littman,鈴木主税
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/06/01
- メディア: 単行本
- 購入: 10人 クリック: 134回
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自分って、自己啓発だけが好きだと思ってたけど、
小説が「ダメ主人公」が多いヤツで、けっこうバランスとってるのかもしれないです。
ダメ主人公の本って、なんだか安心しちゃうんだよなあ。
ということで、今日はなんか信じられないような企画をしちゃってごめんなさい笑
読んでる人いるのか・・・
新しい世界が広がるってなんよ。デザインの世界。
これねー、面白すぎて、ホントに誰にも教えたくなかったんだけど、書きます。(笑)
デザイン思考が世界を変える
デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方 (ハヤカワ新書juice)
- 作者: ティムブラウン,Tim Brown,千葉敏生
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/04
- メディア: 単行本
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まさに、新しい世界が広がった本。
Ξ(」゚□゚)」てかさー、「新しい世界が広がる」って何度も出てきてるけど、実際なんなん???
それはですね
なんもなかったところに、急に青空と芝生が広がったような感じです。
意味深笑。←四字熟語みたい
新しい世界をつくるって、
池田晶子さんの「14歳からの哲学」「新・考えるヒント」でも言っていたけど、
言葉が与えられること
だと思います。
頭の中に新しい概念が生まれるときって、言葉が与えられて、そこから新しい世界が広がっていくでしょう?
例えば。
「イヌ」という言葉が与えられない限り、この世の中には「イヌ」は存在しないのです。
もっというと、あなたの世界に「イヌ」は存在しない。
人なつこくて、嗅覚が鋭くて、オオカミを祖先に持つ動物っていうのはいるんだろうけど、そこに「イヌ」という言葉がない限り、あなたの世界に「イヌ」は存在しない。
「イヌ」という言葉が与えられて、はじめてあのチワワやらシェパードやら柴犬やらの雑多な生き物がひとつにまとめられ、「イヌ」という世界が頭の中に姿を現してくると思うのです。
言葉があっての世界で、言葉が混沌としたものを切り取るまでは、そこに世界は表れない、みたいな感じだと思います。
イヌ、だとちょっと考えるのがめんどくさいかもしれないのですが、(私も偉そうなこと言ってよく分かんないや)
こんな風にして
「デザイン」
の新しい世界を、頭の中にぱーって広げてくれた本が何冊かあるんです。
今までは「デザイン=コップのデザイン、とか、見た目をカッコよくみせるためのスキル」
っていうのが私の中でのデザインの世界だったんですが、
デザインってそんなちっちゃいものじゃないみたいなのです!!!
その中の1冊が、「デザイン思考が世界を変える」。
イノベーションをおこし続けるって有名な・・・デザイン思考ってなんぞや。
イギリスのデザインファームIDEOの人達が布教(笑)している考え方で、
「直感と論理の両方、人間の本質そのものを使って問題を解決すること」
「人々のニーズを中心に問題を解決すること」
「プロトタイプを創って考えること」・・・
定義がいっぱいあってよく分からない状態です。
でも、とにかく普通と違うんです。
クライアントに解決してほしい問題をつきつけられたら、
人間観察や、プロトタイプの制作、物語の作成・・・など、「人間中心」の方法をとりながら、
問題解決までの道筋を「デザイン」していく・・・。
こんな感じ。
あ、ごめんなさい、自分でもよく分かってないっぽい。
でも、ちょっと新しくて分からない考え方(体系化がまだ成されていないほど)なんだけど、その分まだまだ進化していきそうなパワーを持った考え方みたいなんです。
その新しさに、感銘を受けました。
そう、最近「デザイン」に関して、新しい考え方がたくさん出てきていて、しかもそのどれもが目覚ましい成果をあげてるんですよね。
〈その他にデザインの考え方を変えてくれた本〉
世界を変えるデザイン
- 作者: シンシアスミス,槌屋詩野,北村陽子
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2009/10/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 19人 クリック: 394回
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ソーシャルデザイン・アトラス
ソーシャルデザイン・アトラス: 社会が輝くプロジェクトとヒント
- 作者: 山崎亮
- 出版社/メーカー: 鹿島出版会
- 発売日: 2012/08/01
- メディア: 単行本
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コミュニケーションをデザインするための本 ←広告興味ある人とかすごくいいと思います
- 作者: 岸勇希
- 出版社/メーカー: 電通
- 発売日: 2008/09/03
- メディア: 単行本
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コミュニティデザイン 人がつながる仕組みを作る
- 作者: 山崎亮
- 出版社/メーカー: 学芸出版社
- 発売日: 2011/04/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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こんな風に、デザイン=もののデザイン、見た目キレイ・・・とかだけじゃなくて、
なにかの問題全体を解決する=デザインっていう感じが新しいいいいい!って感動していました。
そこが、でざいんの一連の本を読んで、広がった新しい世界です。
あ、この前お会いした社会人の方は、「そこにあるのが気付かれないデザインが最高のデザインだ」っておっしゃってました。
フォークの先が3本なのは、だれも気に留めないけど、4本だったら多いし、2本だったら少ない。
3本にすることで、誰も気付かないかもしれないけど、最高の使い心地って意味だそうです。
うーん深い・・・
〈ちなみ〉
〈IDEOに関する本〉
発想する会社!
発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法
- 作者: トム・ケリー,Tom Kelley,ジョナサン・リットマン,Jonathan Littman,鈴木主税,秀岡尚子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2002/07/25
- メディア: 単行本
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イノベーションの達人!
- 作者: トムケリー,ジョナサンリットマン,Tom Kelley,Jonathan Littman,鈴木主税
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/06/01
- メディア: 単行本
- 購入: 10人 クリック: 134回
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こう思うと、日本って元・もの作り大国で、今はそれが寂れてきちゃったなんて言ってるけど、
もの作りにはまだまだ可能性が秘められてると思うんだよなあ。
昔は、大量に安く!の時代だったかもしれないけど、これからは、そのモノを通してどんな物語をつくるか、とか全体を描くかっていう話になってくるんじゃないでしょうか・・・と思いました。
ジュンク堂の本棚にもデザイン思考の本は、「もの作り」の棚においてあった。
抱きしめたくなる本棚を創ろう。
京都旅行中の心境 ↓
「やっほいブログから解放されるわ!」
(毎日記事書くのってこんなに大変なんですね・・・自分からやるっていったくせに。世の中のものがきのみなさんごめんなさいなめてました)
とかおもてた割には、やっぱアンテナが知らないうちに本にピコーン向いてるみたいで、なんかいろんなヒントゲットしてきちゃいました〜〜〜〜〜。
1に映画闇金ウシジマ君。
そしてそして。ああ、本ってこういう風にあるべきだよなあと思った体験をしました。
それは京都で電車を乗り過ごした時のこと・・・
ぷしゅー。(ドア閉まる)ガタンゴトンガタンゴトン・・・
「え、えええええ乗り過ごしたー!!!やってもうたー。
んー・・・でも戻るのもめんどくさいから、そのまま電車に乗って楽しそうなところがあったら降りることにしよっと。」
となり。
手に取ったるるぶを何となく見ていると
!
なんと!
「全国からファンが訪れる本のセレクトショップが京都にあります。」
全国からファンが訪れる本屋だと・・・?
なんなんだそいつは!
そして最寄り駅を見れば、「この電車、そこ行くやん。」
という神様のお導きのもと、言って参りました 恵文社一乗寺店。
うん、すごいや!
見た目はこんな感じ。
ちょっと普通の本屋じゃない。
入ってみると・・・
なんか、すごく
センスがいい。
本が、すごくイキイキと並んでいる。なんでそう見えるんだろう?
本だけではなくて、小物やちっちゃなギャラリー、CDまで、、、全然違和感なく、センスよく並べてあります。
本だけではなくて、すべてのものを使って”居心地のいい空間”っていうのが創られています。
月曜の4時頃だというのに、お客さんがいっぱいです。
あ、全国からファンが集まるだけあるわって思ったのが、
本の並べ方です。
絶対に、すごく勉強している人、本のセンスのある人が並べただろうって分かる並べ方なんです。
普通の本屋さんに並べてあるような、なんでもいいから並べちゃったあの無機質な感じじゃなくて
本棚から、強烈なメッセージがにおってくるように伝わってくる・・・そう言ったらいいのかな。
これが、本の上質な世界なんだって。
優れた仕事をする人って、それがどんな仕事であれ、優れたメッセージがにおってくるように伝わってくるって思います。
言葉ではなく、その人の仕事ぶりや姿から言葉以外のところから感じ取れるメッセージです。
なんでも。
クリエイターなら分かりやすくて、
宮崎駿さんからは、「人間へのいたわりの眼差し」とか。
秋元さんからは、やっぱ私としては「諦めるな!」っていうのがおおきいなー。
クリエイター以外でも、優秀なビジネスマンの提案書からは、こちらが頼んだことだけではなく、プラスαの情報まで丁寧に載っていて、こちらを気遣ってくれているというメッセージが伝わってくる。
(これはインターン中に上司の人から聞いた話)
これは、多分クライアントから頼まれた仕事だろうと、いかに制約が多い仕事だろうと、関係ない。
その人が仕事にプライドを持って真剣にやればやるほど伝わってくる一貫したメッセージがあります。
しかも、伝え方も秀逸。内容だけではなく。
そんなことを常日頃感じていたのですが、
本棚を見た時に、同じことを感じました。
あ、メッセージが伝わってくる、と。
例えば。
デザイン に関する棚がありました。
まず、新書、でかい本、ちっちゃい本、洋書、関係なく置いてあります。
しかも置いてある本も無造作ではなく、
上から下へと
HOW TO 本、
最近出てきたソーシャルデザイン、コミュニケーションデザインなどの新しい分野から
「デザイナーはプロダクトのデザインだけではなく、そのプロダクト全てに関わる環境だとかのデザインもする。」などの新しい試み
(EX.建築なら、家の建築だけじゃなくて、そこに置く家具や絵、料理などまで全てをデザインするべき)
など、
デザインに関する考え方が流れるようにして、配置してあります。
すげえ(笑)
この棚からは、「デザインってこういう風に変わっていくんだよ」っていうメッセージを感じました。
なんていったらいいのかよく分からないけど、絶対この本棚を創った人はものすごく考えていて。
これからの世界のこととかも、多分考えていて。
よく分からないけど愛情まで伝わってきちゃって。
これが、本の上質な世界なんだよ、
とも。
優しい本棚、というか
人への暖かいまなざしを感じる本棚、というか
その本棚があるだけで、そこにひとつの世界観が鎮座している、ひとつの世界が完成しているように思える本棚なんです。
そういうのって一緒にいるだけですごく心強いんですよ。
いろんな著者がまるで自分のことを励ましているように思える、自分の世界観を共有できているように思える場所になるから。
そう、これ。
この世界観をつくりあげられることこそが、本の上質な世界だって思うんです。
ある程度の数をこなすと、知識のネットワークみたいなもんが頭の中にできてきて、それが、世界観をつくるのに役立つんです。
いや、なんか1000冊、2000冊読んだ人の頭の中とか本棚ってどうなってんだろうなあ・・・。
ということで。
本棚素晴らしいな!
と思ったので、
ブログのタイトルを「抱きしめたくなる本棚を創ろう」に変えました笑
無造作に置くんじゃなくて
自分の好きな本を置くことから始めて、
そこからだんだん見えてくる自分の世界観や知識のネットワークを見てみてください。
それって本当に幸せなことだと思います。
今日本紹介ないけど、それぐらい重要な発見だったんで、ブログに書きましたー♪
わりお。